1958年創業の歴史と伝統を受け継いだ琉球料理店
琉球料理「美榮」は、最後の琉球国王・尚泰王の四男で美食家だった尚順男爵の料理に所縁のある老舗(1958年創業)です。
1960 年、現在地に店舗兼住宅として新築しました。
創業者は古波藏登美(1912-1978)。
琉球王国時代の城下町首里の金城生まれ。
兄はエッセイストの古波藏保好(1910-2001)。
登美は、首里士族で伝承された料理上手な母親の元で育ち、美榮を経営しつつ、
琉球料理研究会(戦前、尚順男爵宅に出入りしていた田島清郷氏が中心メンバー)に所属し、琉球料理の研究を続けてきました。
琉球料理の伝承・普及にも取り組み、「美榮の琉球料理の案内」を発行するとともに、新聞に琉球料理のレシピを連載しています。
琉球料理は下ごしらえに多大な手間と労力をかけることが特徴で、几帳面だった登美が残した手書きのレシピノートは、
琉球料理の極意を伝える貴重な資料として保存されています。
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古波藏登美(創業者)
1912 首里金城町で生れる 1958 那覇市美栄橋町にて「琉球料理美榮」創業 1959 那覇市東町に移転 1960 那覇市久茂地に移転 1962 料理研究家、新島正子氏とともに
「琉球料理研究会」創設 -
美榮玄関前で撮影:菅洋志
古波藏保好(第二代店主)
1910 首里金城町で生れる 1931 「沖縄日日新聞」に入社 1955 「毎日新聞社」論説委員となる 1972 「第1回ベストドレッサー賞」受賞 1981 「沖縄物語」刊行、「日本エッセイスト・クラブ賞」受賞 美榮玄関前で撮影:菅洋志
また、琉球漆器、壺屋焼、染織品、民具等の沖縄の工芸品や沖縄にちなんだ絵を収集し、
美榮で料理を提供する食器や部屋の調度品として多くのお客様に琉球文化を提供していました。
現在も登美が収集した食器が、料理に花を添えています。
兄の保好は、琉球料理をこよなく愛し、エッセイを数多く残して琉球料理の存在を世の中に広めました。
尚順男爵に招かれて琉球料理を会食した時のエッセイは秀逸です。
また、幼少の頃、口にした母親の料理や食材からは、大正時代の様子をうかがい知ることができます。
守り続けた伝承料理を心ゆくまでご堪能くださいませ。
古波蔵登美により創業された
琉球料理の名店
部屋を飾る調度品や琉球漆器のうつわ、壺屋焼の酒器などこだわりの店内は登美の趣味によるもの。
こだわりの琉球料理
手間隙かかった調理
美榮の料理人は時間を惜しまず仕込みを行います。
なかみの吸い物は「なかみ」の下処理に相当な時間を費やします。
茹で、洗を何度も繰り返し臭みのない透き通った吸い物を完成させます。